「にいひゃ、」
「んー?」
「や、つめひゃい、」
上から2つ目までの釦をそっと外し、首筋から鎖骨、鎖骨から肩のラインを辿るようにして襟元から服内に手を入れる。
心臓部に近い皮膚の温かさには負けてしまうオレの手の温度はには些か酷なようにも思えた。けれどこれが寒い季節の醍醐味でもあるだろう。
鎖骨と胸の膨らみの間を指先でなぞりながら柔肌を堪能する。膨らみが増し始める場所を少しだけ押すようにして触れればふわふわとした弾力が指先をやんわりと押し返してくる。
「ふ、っ」
ブラのカップに沿うようにして中に手を入れ、胸を包み込めばは息を飲んで体を小さく震えさせた。出来るだけゆっくり、揉みしだく。柔らかくて温かいそれを指と掌で好きなようにふにゃふにゃと形を変えさせ、たまに脇に近い部分に軽く爪を立てる。
じんわりと手の冷たさとの肌の温かさが交じりあっていくのが心地良い。
微かに耳に入った蝶番の軋む音に、陶酔しきって熱をもっていた感覚が徐々に現実に帰り冷えていく。暫くの間の胸を愛撫していた手も止まり、バツの悪さを感じながらもそこから手を退け、釦をかけ直す。唐突にことを中断したオレをが気にかけないように、の口内の指を動かし更に一本増やした。
増えた指に多少くぐもった息を吐くが可愛らしい。
オレの指を咥えるのに必死になっているの耳の近くに口を寄せ、耳朶を甘噛みする序にこう言い放つ。
「・・・。母さん起きたみたいさね」
「っ ・・ん、・・ぐ、」
オレの言葉で初めて気づいたのか、唐突にオレから離れようとする。
まだ別に部屋の扉を開けられたわけじゃないんだからそこまで焦んなくても大丈夫さ。
言いながら指を奥に入れるとは呻き声をあげてその場に固まった。けれど結局それも長くは続かず、部屋の前に向ってきた足音に再度距離を取ろうとする。
「ラビ?」
「・・・なに、母さん」
「あ、ラビは居たのね。おはよう、もそこにいるの?」
さあどうしようか。
そう考える間もなくはオレの指を強く噛み、その痛みに緩んだオレの手の中をすり抜けていった。返事をしながら扉に寄りそこを開けるの背中と、噛み痕のついた指を交互に眺める。
「どうしたのお母さん」
「今日ね、おばちゃんちに行こうと思ってるんだけど二人はどうする?」
「え・・あ、私は・・、!」
母親の言葉に戸惑ったのか、おずおずとオレを見たは更に戸惑い言葉を無くして顔を赤くする。まあ原因は今までが口に含んで愛撫して最後に濃い噛み痕と残したその指を、今度はオレが舐めていたからなんだけど。慌てて目線を逸らして胸の前で手を握るに喉の奥で笑った。
そしてそんなを更に追い詰めるように、何も知らない母親が直球の質問をぶつけてくる。
「あら。ラビ、指どうかしたの?」
「!」
「んー、ちょっと・・・噛まれたんさ。」
何食わぬ顔でそう言い放ち、指先をべろりと舐めて、内出血をおこしている箇所を悪化させるのを判っていながら更に吸ってみせると、が目を瞑ってそっぽを向いた。
あーあ、いっそのことバラしてやりたい。はオレのものだと公言出来ない歯痒さが、微かに舌にのった血の味を際立たせる。刹那自分の父親に妹を下さいと頼む自身の姿が頭を過ぎり、まさか冗談にも程があると1人で笑う。
「噛まれて?」
「うん。」
「何に噛まれたの?」
なあ、震えたりしたら不自然さ。
微かに震えているの背中をちらりと見流して、徐にゲーム機の電源へと手を伸ばす。
本当にもうは苛めていじめてイジメ抜いて泣かせたくなるほど可愛い。そして泣かせた後はうんと、どろどろになるまで甘やかしてやりたい。
「ベランダに可愛い猫がきてて。な、」
「う、うん・・・」
「まあ。何処の猫ちゃんかしら」
ちゃんと消毒しないとダメよと言う母親に素直に頷いてオレはテレビの電源を切った。コントローラやコードを適当に纏めながら、BGMが消え一気に味気なくなった室内に似つかわしくない楽し気な母親の声を聞く。
「あ、そうだ。それで二人はどうするの?」
「私・・行く」
「わかったわ。ラビは?」
「・・・オレ駅の本屋に行きたいからいいや。3人で行って来ればいいさ。」
「そう?残念ね・・。」
じゃあお兄ちゃんには何かお土産買ってきましょうか。の頭を撫でながら、そう話しかける母親に、お土産なんていいからとオレは笑って返す。立ち上がり二人の傍に寄ったオレのせいで、親とオレの間に挟まれて曖昧に笑って見せる。その表情がどことなくホッとしているのには気づかなかったことにしよう。
支度を終えたと両親が出かけていくのを見送ったのはもう正午近かった。そこからはオレも適当に支度をして出かける。
休日でも割りと閑静な住宅街をのんびりと駅前に向かい歩きながら、既に所狭しと並べられた部屋の本棚の中を更にまた窮屈にするのかと思うと複雑さ半分嬉しさ半分になった。
ちなみにオレがおばさんちに行くことを断ったのは、面倒だったのと、・・・おばさんちに居る息子に会いたくなかったわけだ。何にハマってんのか知らないけど、そこの息子はやたらファンキーな双子で、オレには本当に相手し難い奴らで。出来ることなら必要最低限以上、オレ以外の男はに近づけさせたくない。そんなことは絶対に無理だけれど、あの双子は特に、なんだ。だって従兄弟は兄妹と違って恋愛しても結婚してもいいんだから。
(08/01/19)