「お兄ちゃ わっ!・・なっ、な っ」

「・・・ シー」







今まさに女子トイレに入りそうなを見つけ、そのまま一緒に女子トイレの中の個室へ押し込むようにして入った。鍵をかけてを見れば、少々強引過ぎたか、はたまたオレが女子トイレに入るという普通では有るまじき事態に驚いているのか、オレを凝視したまま動かない。
そんなの頬に指を這わせそのまま耳の後ろまで髪を梳けば、目を細めて息を詰まらせる。朝からそんなに時間は経ってないだろう、しかし久しぶりにに触れることが出来たような気がした。やっぱり目の前に居ると触って居たいと思ってしまう。







「お兄ちゃん・・今日・・・なんか変、」

「んん? 何処がさー」

「・・・いつもより意地悪だし、」







ヒソヒソと声を出来る限り殺して喋れば自然と顔は近くなり、上から覆いかぶさるようにして抱きしめてやればオレとの距離は無くなってしまう。ぎゅ、と腰を引き寄せて抱き込みお互いの耳元で喋ると身体は次第に熱くなっていく。徐にの後頭部に手を回して髪を梳いてやれば、猫がゴロゴロと喉を鳴らして甘えるかのようにオレの肩にしな垂れかかってくる。
口で言ってることと行動とにこうもギャップがあるとやたら可愛いく思えてしまう。







「そっかー」

「・・・」

「ごめんな? が可愛いからついね」

「・・・」







オレの言葉に押し黙り、オレの服を握り締めて答えるに愛おしさが増す。







、聞いて?」

「・・うん」

「オレもが大好きだからと付き合ってるんさ」

「・・・・・ ん、」







そうの耳にキスを落としながら言えば、はオレの肩に頭を押し付けて擽ったそうにしてみせた。
狭く隔離された場所に二人でいる所為か、それとも他の所為か、体も顔も熱くて仕方ない。けれど離れるという選択肢は最初から無くて、むしろその熱が心地良いから更にとくっついていたいくらいだ。







朝からの空白を取り戻すようにしてそのまま抱き合っていれば、現実に引き戻すかのように扉向こうで誰かが入ってきた音がした。それに顔を上げて戸惑ったような表情でオレ見てくるに、大丈夫大丈夫とあやして笑う。誰も個室の中なんて確認しないし、声を出さなければバレることなんて無い。







「・・・」

「・・・」







足音は洗面台の所で止まり、何やら鞄の中でも漁っているかのような音を立てている。きっと化粧直しとかその辺りだろ。オレと同じく外の音を気にしているを小さい声で呼べばオレと目を合わせて小首を傾げて見せる。その表情と行動が可愛くて思わず笑んでしまいながら、キスしよう?と言えば・・・







「え、」

「嫌さ?」

「や・・じゃない、けど」







が嫌じゃないなら何も問題は無い。
伏目がちになったその瞳を上から眺めながらゆっくりと唇を合わせると、の瞳は一瞬だけオレを写した後そのまま瞼を下ろした。次第に紅潮していく柔らかい頬と耳に指を這わせ、少し離してはまた啄ばむようにして唇を食む。柔らかくて温かい、さっきが口にしていた紅茶の味が仄かに甘くなって伝わってくる。
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