ー!」

「! ううううわ、ユウちゃんごめっ私今日はもう部屋行くっ」

「お、おう」

「あっれ、ユウ何突っ立ってんさ。つーか見なかった?今こっちの方で声がしたんだけど」

「・・・。俺が知るかそんなこと」

「・・・。隠し立てするとタメにならんさ」

「隠してねーよ」










冗談じゃない冗談じゃない冗談じゃない。そう小さく呟きながら私は今唯一頼れるであろうアレンの部屋へと急ぐ。折角大好きなユウちゃんとお話できてたのに、私の耳は遠くから迫り来るラビの声を察知してしまい尚且つその場から一刻も早く離れなければならなくなってしまった。近頃の私は本当にツいてないんだ。だって私悪い事してないのに変態(ラビ)に追いかけれるんだよ。ツいてないっていうかもうこれは最悪とかの域だよね。なんでこうなったんだろう、奴(ラビ)があんなに変態だなんて思わなかったんだ。最初は普通に可愛いくて格好良いと思ったんだけどそれって見た目だけ。あの顔に騙されちゃ・・・ダメ、絶対!・・・あれ、なんかこのフレーズ何処かで聞いたことある。










事の始まりなんてとうに記憶の彼方。何時からか会えば会うたび会う回数が増えていく毎にラビの私に対するボディタッチ、は域を軽く超えセクハラに変わっていった。最初は手を握られる程度だった。私も人と馴れ合いや抱きついたりするのは割りと好きな方だから(誰だ今変態って言った人)そのくらいは何ともせずに、むしろ快く受け入れていた。んだけど、それが今度は恋人でもないのに肩を抱き寄せられるようになって、抱きついたままにされる様になって、腰や尻や足を触られ、何度と無く軽くキスを奪われ、服の中に手が入り込んでくるようになり、人気の無い場所に連れ込まれそうになったり、とにかくもうコレって友人の範囲じゃない様な事をされるようになってきていた。私はユウちゃんが好きだと知っている筈なのにそーゆー行為をしてくるラビに正直不愉快さを感じ始めているわけで。










「アレン!ねえアレンンン!開けて!早く開けてええええ!死ぬ!死ぬよちゃん死んじゃうよ!早く開けてくれないと死ぬからアレンおねが・・・」

「聞こえてますからそんなに焦らないで下さい」










アレンの部屋についた瞬間猛烈なコンボ数で扉を叩いて中に居るであろうアレンを半狂乱になって呼ぶ。私もここまで来ると最早女を捨てるしかないんだよ。女としての世間体より何より今は身の安全です。やっと、やっと、ゆっくりと開かれた扉に安堵し過ぎて涙が出そうになる。むしろゆっくり開かれ過ぎてアレンの計画的な犯行じゃないかと思ってしまう程に。いやいや、アレンはそんな悪い事考えないよね。たまに黒・・・真っ黒になったりするけど何時もそんなんじゃないもんね。早く部屋に入りたいんだけれど、追われている不安感の方が勝って、私は目の前に出てきてくれたアレンに勢い良く抱きついた。背中に回してくれる腕が温かくて安心する。本来であれば、扉が開いて男女が抱き合うなんて恋人同士の待ちかねた抱擁でしかないんだろうけれど例外だってあるよ。ほら今此処にまさしく。










「うううっアレンアレンアレン!」

「はいはいよしよし。扉閉めますから入って下さいね」










背中をポンポンと撫でながらそう言ってくれるアレンの肩に頬擦りをして一頻りの安心感を貪った。そしてズルズルとアレンに抱き付いたまま部屋の中に入り、ああとりあえずコレで一安心。それにしてもユウちゃんともっと話していたかったな。けどユウちゃんの事だからラビから私を守ってくれたりはしないだろう。嗚呼悲しきかな恋心。て、そんな浸ってる場合じゃなかった。抱きついたままアレンの顔を見て私は言う、最後まできっちり安全確認する事を忘れてはならない。










「鍵も締めてね!」

「・・・その言葉聞き様に寄ってはえらい問題発言ですよ」

「・・・。アレン君は英国紳士だから・・・!」










あ、溜息つかれた。だけど前鍵を閉め忘れた時、アレンの部屋なのにラビが不法侵入してきて・・・わわわ、これは思い出したくないから忘れよう、早急に忘れてしまおう。一人で頭をブンブンと横に振ると、鍵を締めたアレンがおかしそうに笑った。その顔は綺麗で可愛いくて、ラビも可愛いだけなら良かったのに、今更叶わないであろう夢を思い描いたところでそんなものは意味も無いのだ。ああもう、いやだなあ。アレンにも毎度迷惑かけて悪いとは思いつつも此処が安全な事には変わりないから仕方が無い。










「ごめんねアレン」

「? 何ですか急に。あ、みたらし団子食べます?」

「食べる!」

「あはは、あんまりがっつくと喉に詰まって窒息死しますよ」

「ぐっ・・、アレン、顔と言葉にギャップがあり過ぎるよ」

「そんなことないです」










可笑しそうにまたあははって笑うアレンはやっぱり可愛い。とっても可愛い。男の子にしておくのが勿体無い程可愛い。けれど言う事は一々グロいので考え物なのだ。ううん、そこもまたアレンらしくて良いっちゃ良いよね。自分の中で納得しつつ貰ったお団子をパクついていると扉の向こうの廊下から誰かの足音が響いてきて体が急激に強張っていく。ラビ?まさか、でも、誰?こわいな、何でこんなにビクビクしなきゃいけないんだろう。










「・・・アレ、ン」

「どうしました?」

「誰か、来る、?」

「・・・。大丈夫ですよ、鍵したじゃないですか。」

「う・・うん。そうだね、鍵したもんね」

「お団子もっと食べます?」

「うん、貰う」










ありがとう、そう言ってアレンからお団子を受け取った瞬間。顔を手前に引かれて口端を生暖かくて濡れたモノが拭っていった。あ、やばい。この感触は身に覚えがある、舌だ、だけど今はアレンしかいない。こんなことするのってラビしかいない、と思ってた、けど今ラビはいなくて、アレンだけで、じゃあアレンが、え?アレンが?今まで守ってくれたアレンが?そんな事するわけない、けれど私の眼前いっぱいに写るのは見紛うこと無くアレン、・・・で・・・。










「う、ん・・あれっ・・ん、んンっ」










嫌だイヤだいやだ。唇を寄せて口内に舌を這い回してくるアレンの肩を力いっぱい押そうとしたら握り締めていたお団子を手放してしまって、それは私の素足の太腿部分に落ちてべちゃ、と醜い音を立てた。ぬるぬると好き勝手に動いて私の舌を絡め取るアレンの舌に酸欠になって意志だけが一人歩きする。










「ん・・ぅう・・」










イやなのに、嫌なのに、いやなのに、なんで止めてくれないの、なんでアレンはこんなこと、・・・嗚呼私がいけない?男の子だっていう事を無視して必要以上にアレンを頼りすぎた私がいけないの?そうか、私がいけないんだ。ごめんねアレン、ごめん。だけどね、だけど・・・










だけど、嫌なものは嫌なのよ!










「うあ゙っ!・・ッ!」

「うっううっ、アレン、アレンの莫迦っ、ごめんなさい、アレンの莫迦ー!」










私は勢い良くアレンの急所に蹴りをお見舞いした。そして罵声と謝罪の言葉を叫びながら、蹲るアレンを放置して部屋から飛び出した。後ろから謝るなら蹴らないで下さいと最期の言葉が聞こえた気がした。(嗚呼ちゃっかり最期とか言っちゃったけどそんなに強くは蹴ってないよ!・・・多分。)あ、もうこれでアレンとは・・・どうしよう、全部私のせいだよね。アレンごめんね、ごめんなさい。だけどイキナリしてくるアレンもいけないんだよ、どうしよう、ずっと仲良しでいたかったのに、きっともう明日からは、










「あっ!」










あ・・・明日から・・・は・・・。・・・。それどころじゃない、それどころじゃない、それどころじゃ な い ! なんてタイムリーでなんてタイミングが宜しいのか。全速力で部屋へ戻ろうとした私の目の前の角から、狙ったようにヒョッコリと現れたのは紛れも無く、










ラ ビ だ !










「っい・・・いやあああ!」

!」

「くっ来るなへんたーいっ!もうみんなヘンタイだチクショー!」

「何叫んでんさー?可愛いなー」

「いやだいやだやだやだやだ!来ないで来ないで来ないで来るな!」

「え?追って来いってー?」

「どんな耳しとんねんワレェー!」










どうするよ?どうするよ私?!これこそ最大のピンチです。これは忌々(ゆゆ)しき問題です!私の部屋までは、あと2階上がらないといけないんだけど、階段なんて上ってたらラビに追いつかれる。今のこの状況でさえ追いつかれそうなのに、階段なんて、階段なんて・・・、あっ上るのダメなら下れば良いんじゃね?あれっ私頭イイよ、冴えちゃってるよやばいよちゃん今日逃げ切れる自信があります特攻隊隊長ォオオオ!頭の中で精一杯敬礼して叫びながら、足は下の階へ向かうために階段へ。速く、速く、速く!










「何処行くんさー?もしかしてオレの部屋?やーん積極的!」

「ちょ、黙れってお前!マジ黙って!そしてこっち来んなっ!」

「そんなにオレに捕まえて欲しいんさー」

「もうなんかね!アレだよね!共通語の筈が通じてないよね!私がいけないの!?この文法間違ってるの!?私来るなって言ってる筈なんだけど何でラビは追いかけてくるの!?」










二人してベラベラ喋りながら長い階段を駆け下りていく。自分でもよく息が切れないものだと感心してしまうよ、ああもうまったくね!こんな荒業ができるようになったのも日々のこの追いかけっこならぬ嫌がらせの成果でございますよ、おうともさ!おかげでちょっと最近任務先でアクマの攻撃見切れる様になってきたしな!ユウちゃんにだってお前足速くなったなって褒められちゃったけどな!あれ、やばい嬉しいよ!これ嬉しいよ、ユウちゃん大好きだよ!今考えてみたらユウちゃんが褒めてくれるなんて無いよね!やばい私幸せ!ユウちゃん大好き、超幸せ!










「ってこの状況で幸せなわけあるかあああ!」

「オレに追われて幸せなんてよっぽど嬉しいんさね」

「独り言に介入してこないでっ よ!?あっ ぎゃああ!?」










莫迦だ私、今更後悔したって遅いんだ、私は階段の幅を見誤って段差を踏み外して階段の途中の踊り場に転がり落ちた。痛い、これって時代劇とかで斬られた人(スタントマン)がよくやるけど痛いよ、派手に痛いよ。スタントマンさんって凄いんだね。今ちょっとだけ尊敬しました。しかし頭打ってないのがまだ不幸中の幸いかな。しかし痛い、どうしよう、だけどコケた痛さに蹲っていてラビに捕まるなんてもっと痛いよ!力を振り絞って涙を飲み込んでグッと腕に力を入れて体を起こしたのと同時に、私の手の直ぐ傍にトン、と軽い音を立てて黒い靴が着地した。・・・。黒い靴、が。それは誰の靴?願わくばユウちゃんであってほしい。けどそんな瞬間移動みたいなことできなよね、ユウちゃん。私は独り心の中でそう呟いて覚悟を決めて上を見上げる。










「眩しいくらいの紅い髪とはお前のことかっううっ」

ってばオレの髪の色好きなんさ?嬉しー」

「う、うっ・・どうして話が通じてないの」










思ったとおりというかもうコレは展開通り。ラビが大丈夫さ?なんて言いながら腕やら背中やら、腰やら尻・・・を撫でてくる、んだけど、これも何時も通りだからもう反応もできない。お父さんお母さんごめんなさい。は今貞操の危機です、しかも望んでない相手です、(気分的に)先立つ不幸をお許しください。あ、やばい、本当に涙出てきた、格好悪いというかそれ以前にこんなところラビに見られたくない。目に痛いその紅い髪と強烈な印象は嫌でも私の中に割り込んで居座る。










「う・・うええんっ、ひっく、」

「・・・よしよし、何処痛いんさ?見せてみ?」

「・・・、」










・・・あれ?なんかラビの様子が何時もと違うよ。滲み出てきた涙につられてとうとう泣き出した私に、ラビは私の体を持ち上げて近くの階段の一番下の段に座らせた。何時もじゃ弱ったところをここぞ!とばかりにセクハラされるんだけど様子が違う。願わくばこのまま普通のラビで居てくれます様に!何時もと違うラビのその行動に驚いて涙が少し止まった。そして更にコケて打った肘や膝を見てくれていたりする。打撲程度で済んでいる箇所にはありありと赤い内出血が浮かび上がっているけどラビはソコを優しく撫でてくれる。










「コッチは冷やした方が良さそうさね、」










思ってもみなかったラビの優しさに不可抗力で心臓が早鐘を打った。ラビってこんなに優しかったっけ?否、優しいんだけど優し過ぎる故に変態な事までしてくるんだ。元から優しいのは知ってるけどソレを通り越した変質的な部分しか知らなかった私にはラビのこの行動は新鮮で尚且つ私の調子を狂わせるには充分過ぎた。ユウちゃんが好きな筈の私は今簡単にラビに傾きそうになっている。この展開はいやだな、ユウちゃんが好きな気持ちはこんな軽い気持ちじゃなかった筈なのに。少しだけ後引きの涙を流しながら放心した様にラビの行動を見る私の口からは、実際は何も発せられていない。





















そして私は落とされた …?

































































「ん?何これ」

「・・・あ」










腕から今度は膝の方を見てくれていたラビが見つけたのは、さっきアレンにキスされた弾みに脚に落としたみたらし団子のタレ、の跡らしきもの。そういえばあのまま飛び出てきてラビに見つかって追いかけられて拭ってる暇なんて無かった、んだっけ。説明するは何だかとてつもなく億劫だ(だって理由が理由だから口にしたくもない)、けれど少し乾いてペトペトとしているソレが何なのか変に勘違いされるのも嫌で、早く説明しきってしまおうと私が口を開いた瞬間。










「っひ!」

「甘、本当になにさこれ、・・・あ、みたらし団子?」

「何じゃなっ・・いっ!やっめてやめて!」










あろうことかその部分にラビは顔を寄せて舐め・・・いきなり舐めるか普通?!もし激物とかだったらどうすんの!普通舐めないよね?ラビってどこまで変質なんだろう、っていうかいきなり脚舐め・・あし・・・










前言撤回します。


こんな変な人には


絶対落とされません。











ユウちゃんラブ!ていうかいい加減舐めるの止めてもらわないと凄い不快感が、あれっ!?離れない、ラビが離れない、なんだこの馬鹿力・・・!脚がっ、あっあれ?動けない!腰も立たない!何こんな時に腰抜かしてんの私!あああやばいやばいやばい早く立たないとヤられる嫌だいやだイヤだどうしよう!










「やだっラビやめてっ離れ、ッあ」

「!」










「ッあ」じゃないよ私、何?今の声何!?不意に這わされた舌にあろうことか身体が反応してっていやいやいや、何?官能小説じゃないんだから、けど今のは明らかにいけない声だった気がしてならないよ、うふふ自分で自分が嫌になる。ラビが変な顔してこっち見てるよどうしよう変なのは私か?やっぱり私なのか?ていうか二人して驚いてて何やってんだろう私達、人に見られたら私まで変態だよこんなの!絶対イヤだ早く此処から離れなきゃ、そう思って脚に力を入れるとラビがその脚を掴んできた。・・・。










「ちょっ・・・なにっいい加減に離して!」

の今の声こそ何さ?」

「知っらないよいいから離してよセクハラ!訴えるよ!慰謝料ふんだくるよ!」

「慰謝料狙いなんさ?て、違う、そうじゃなくて。今の気持ちよかったん?もしかして」










何 が 「 気 持 ち よ か っ た ん ? 」 だ よ !良いから手を離せ馬鹿者!いくら口から罵声を浴びせても奴の手の力が緩むことは無くてむしろ強くなって更にラビ寄りにずるずると引き寄せられていく。階段に爪をかけて抵抗しても足で膝で蹴ろうと抵抗しても奴はずっとにやにやへらへらと笑ったまま私の抵抗をものともせずに、何なんだよお前マジで変質者かよここまでくるともういっそ清清しいな称号を与えたいよマジで!しかしどうしようまたしても貞操の危機ですどうしようどうしよう!?っていうか今日貞操の危機多くね?今日なんか厄日なのかな、仏滅なのかなっ。










「何してんだお前ら」

「「!」」










髪の助けっじゃなくて神の助け!(ユウちゃんの髪は確かに神器だけど!)だけどあんまりにも酷い体勢のせいか助けて貰いたいのはやまやまだけど見てみぬ振りをして欲しかったりする気持ちが40%もございます!ユウちゃんのポーカーフェイスが歪んで滅茶苦茶不愉快そうな顔をして此方を見てるんだけど私だって不愉快なんだよユウちゃん。










「邪魔だどけ。それとそーゆーのは部屋でやれよ。」

「・・・え?ユウちゃん?!勘違いだよユウちゃん!っていうか助けてよ!」

「!? っあっぶね、何すんだ莫迦!」










私達の体勢から何を勘違いしなさったか知らないけどさっそうと去ろうとするユウちゃんの足になんとかしがみ付いて助けを求める。その拍子にユウちゃんが転びそうになったけどそんな事は今の私からすればどうでもいいのだ。いくら今転んだらきっとユウちゃんは顔面を階段の段差(しかも角)に強打しようが私からすればどうでもいいのだ!(どっかからかお前本当にユウちゃん好きなのかって聞こえてくる気がするけど多分気のせい。)










、部屋でヤれってさ」

「お前今やをカタカナのヤにしただろ変態!」

「うるせ、何なんだよお前ら、オレを巻き込むな」

「いやっていうか私このままじゃこの変態に強姦されるから!助けてユウちゃんしかいないよ正義の味方!」

「あれ?強姦希望だったんさ?」

「ちげーっつってんだろ何なんだよお前ほんとに!何か私に怨みあんのかよ!」










にこやかにそして着実にスカートの中に手を入れようとしているラビから逃れようと必死になる私には言葉使いがどうの、なんて構ってる暇は無いんだ。一刻を争うのにユウちゃんは未だ面倒くさそうにこっちを睨んでるんだけど、どうでもいいから早く助けてよ!口喧嘩なんて後でいくらでもしてあげるから早く助けて!










「っいて、何すんさユウ」

「五月蝿いからやめてやれ今日は。お前もしつけーんだよ」

「ユウちゃん・・・!」










祈りが通じたのか私の顔が必死すぎたのか、うん多分後者だと思うけど、ユウちゃんが軽くラビの頭を殴って、その拍子に私の足はラビの腕から解放された。私はすぐさま立ち上がってユウちゃんの後ろへと隠れる、けどこれが無意味な事だっていうのは知ってるよ。だってユウちゃんは絶対に庇ってくれたりしないから。だけど今この藁(ユウちゃん)に縋らずに何時縋る!ユウちゃんに殴られたラビは大人しく「じゃあ次の機会にするさ」って言って大人しくなった。うん、今さらっと次の機会って言ったか?いや何も聞いてないよね私の空耳だよね。










「ユウちゃん今日はずっと一緒に居させてね!」

「何ユウ口説いてるんさ、お前にはオレがいるっしょ

「うっさいんだよマジで!変態さんは付いてこないでよ!」

「だってが逃げるからいけないんさ」

「いけなくねーよ、お前からは逃げないと危ないんだよ!」

「そんな危ないことしないって、優しくするしさー」

「ほらみろ、する事前提じゃん!」

「え、だってしたいじゃん」

「したいじゃんじゃねえよ!ラビの一方的な欲求じゃんソレって!」

「あれ?からシたいならそれでもいいんさ、別に!」

「違うっつってんの!これ共通語?私がいけないの?ラビが変態すぎるの?」

「たとえ喋れなくても心で通じ合えるさ!」

「さっさむっ・・・!」

「早速暖めてやろうか?」










「うるせえ!」

「いたっ」

「いてっ」










ユウちゃんの迷惑を考えつつも配慮はできない自分に悲しくなったけれど私は私で色々大変なんだ。ユウちゃんを私とラビの間に挟みながら攻防戦を続けているとユウちゃんから両成敗の為か鉄拳が私とラビの頭に降ってきた。ラビはともかく、女の私に暴力振るうなんて酷い。また涙が出そうです、色んな意味で。嗚呼この生活いつまで続くのかな、早く終わらせないと私の貞操を保つには危うすぎる。今にも綱が引き千切れそうな吊り橋を無限に往復させられている様な気分だよ、ははは。いくら貞操が守られていても、そのうちストレスで神経性胃炎とか頭髪の脱毛が有り得そうで怖い。さっき一瞬でも奴に気持ちを傾けてしまった自分を心底呪う。





















今更この落に何を悲しもう


もう悲しむ気力も残ってない、そんな気力があるなら私は唯只管、守りに転じます。





















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