溶け合った様ななんていう表現をよく耳にするけど、ならばそのままいっそひつの液体になるまでドロドロに融合して何処からがで何処からがオレかわからなくなれば良いと何度も思う。










「アあッ・・ラビ、っは」










壁に反響して耳に届く声がやけに遠く感じてさっきよりを抱く腕に力が入る。水面から立ち上る湯気が熱くて咽返りそうになったけれど、それ以上にオレを締め付けて中で甘やかしてくる熱に息が詰まった。不用意に下を向くと跳ね上がる湯が開いた口に入ってしまうからの胸元に唇を寄せる。










「ひ・・・あ、あんッ」
「此処、好きなんさ?」
「んン・・あ、アあッ、」










向かい合わせでオレの上で揺れるは湯船の縁に捕まったまま首を振った。虚勢と喘ぎが矛盾していても中が痙攣しているのは判るから、しつこく同じ箇所を突き上げてひたすら上り詰める快感を煽った。そうして身体を離して近づける度に湯が揺れてバシャバシャと浴槽の外へ飛び出していくけどそんなのを気にしてもいられない。










「はっ 、」
「ひゃ・・あ、んっ ンッ」










全身の血が沸騰しそうな熱を分けたくて、の手首を引っ張って唇を合わせた。部屋全体が湿気を帯びすぎているせいで、いつもより口から溢れる唾液は多くて、飲み込むよりもそれをぐちゃぐちゃに混ぜるようにして舌を絡める。温度もそれなり、どれが湯でどれが体液かなんて全く判らない。酸素を貪ろうと喘ぐの邪魔をするかの様に粘着質な唾液は糸をひく。










「は、ああ、イく、イッ・・ァアあっ」
「・・ッっは、う、」










一瞬口を離してオレにもたれかかってくるが大きくヒクついて達し、その締め付けでオレも中に精を吐き出す。腰から背中に駆け上げって行く快感の最中、力なく後ろ側に伸びていくの腕を目で追うと、蛇口を掴んで回し、大量のお湯が注ぎ込まれてきた。その湯が身体を撫でていくとそこから湯に溶け出してしまいそうな錯覚を覚える。










「 は、あ・・ あんっ」










余韻に浸ったまま聞く水が水を叩く音は、変な話母親の腹の中を思い描かせる様な気がした。未だに力なくもたれかかったままのの背中に片腕を回し、すっかり沈み込んでしまっていた体制からしっかりと座りなおすと、挿入したままの自身が深い所にあたったらしく小さく啼いた。










、このまま居たらのぼせるさ」
「で、でも むり、まって、」










力無い声で言われてまた自身が熱を持ちそうで、このまま再度熱に浮かれるのは容易くて、だけどそれに身をまかせれば絶対にのぼせ上がることは間違い無くて、結局可哀想でもの言葉は聞けなくて自身を引き抜いた。それにまた可愛く啼いてくれるから、余計あれの収集がつかなくなってくる。










「とりあえず上がるさ」
「んん・・」
「立てる? うわっ」










浴槽の中で水音を立てて立ち上がり、を見ると俯いたままで、腕を伸ばすとそれを引っ張られてまた浴槽の中に逆戻りした。ただし今度はさっきよりも数倍派手な水音を立てて。顔にかかる湯を気にするより唇を合わせてくるに気をとられて、今度はを下にした体制で舌を絡める。










「っふ ・・あ、ッ」










が誘ってきたからオレはそれにノったまで。オレが浴槽に逆戻りした時の様な派手な水音を立てて湯の中に二人して頭まで沈み込む。口の中に入り込んでくるお湯は体温よりも熱くて、体温はそれにノせられやすいのかどんどん熱が上がって行く。水中じゃ息苦し過ぎて思うようにできず、けれどそれを煽るようにの唇に唇を合わせると大きな気泡が口端から漏れていった。










このままいっそ溺死でもしてひとつの液体になるまでドロドロに融合して何処からがで何処からがオレかわからなくなれば良いと、そのまま永遠に分離することなんてできなくなれば良いと、










溺死に似た愛恋願望
 不純物のない、オレとお前っていう一固体になればいい。




















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